オープンメタバース Mr. Takuro
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今日も猛烈な忙しさだった、会社のビルからでて、近くの公園、ベンチに腰掛けた。
眩暈がする。よくあることさ。こんな会社勤めの大急ぎの日々。「あ~ぁ、あほくさい」。
つつき回され、頭を下げ、コンマミリ秒を争い走り抜ける。そんな毎日を自嘲しながら、ため息をついた。
・・・
しばし呆然としてし、ふと目にとまった。今にも朽ちて倒れそうな古びた木の立て看板。
あれ?こんなところに、あったっけ?
古びて文字がかすれているよく見えないようであるが・・拓郎は読んでみた。
『
あなたにお尋ねします。
・病気など様々な事情により出勤が難しいなどありませんか?
・会社の人間関係に疲れるときがありませんか?
・憂鬱な時はありませんか?
どんなことでも構いません。今すぐご用命を、きっとお役に立ちます。
035-5550-XXXX』
拓郎は思った。
ああ、そうさ。俺も、妻も幼稚園になる子供があるから
だから何かあった時のために家にいたほうがいいんだけど、生活の事もある。
仕事には、日曜日の夜に憂鬱になるときもある。
正直、俺にピッタリではあるが・・・(真顔)
けれど、看板、気味がわるいな。。
そろそろ戻らなきゃ、先輩が怒ってカンカンになるぞ。歩き出した拓郎のほっぺに何かが上陸し、溶けた。
あれ、、雪・・?か?風にあおられて舞っている。夏に入ったばっかりなのに。
忙しすぎて、とうとう頭もおかしくなったか。はぁ、ため息をつきながら、風に煽られたスーツの襟を整えて駆け出したとき、なにかと目が合った。
公園をかこっている、胸位の高さのある緑のフェンスのてっぺんに
虫食い穴のニット帽、破れた茶色いマント。キャラメルボックスほどの手のひらサイズの小さな老人が座っていた。
・・その瞬間。
0と1の緑の数字が一面に流れている球体が覆う巨大な空間で、キャラメルボックス老人と共に宙に浮いていた。
老人と拓郎。球体に湾曲した数字の緑が光る黒い闇の空間。
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衝撃でコンクリートのようにカチカチに固まった拓郎に
キャラメルボックス老人が口を開いた。
「知らないか?」
「この先を行け。そうしたらわかる。」
キャラメルボックス老人がそう言うと、球体が縦に割れ、左右に開き光が差し込んできた。
そこには一直線の道が前方に伸びており100m先にアーチがある。「ようこそ・・」とかかれているようだ。
アーチにも看板があり、なにか書いてある。
拓郎は読んでみた。「ここからさき・・・」
<看板>
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「ここから先、お気を付けを!」
◎古びた常識は通用しない場所、”オープンメタバース”が広がります。中央集権思考の持ち込みはご遠慮ください!
人に期待せず、参加して自分で創り、楽しむ気持ちがある人にぴったり。
=オープンメタバースへようこそ=
特徴は以下の通り。
①機会はだれしも平等です。
②ピアツーピア取引。中間者の搾取がありません。
③完全実力主義の競技場です。オリジンヒューマンの生まれた場所、男・女、肩書、それらの効果はゼロです。
④接続?(いずれでもOK.3Dグラス、インプラントチップ他)
⑤通勤時間?(恐竜時代の事を話しているのかい?)
⑥仕事はAIにご連絡を。あなたは指揮棒を振るだけです。
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この看板を横目に、アーチを通り抜けると、何やら、石碑がある。拓郎は読んでみた。「ここで・・・爆発・・
<石碑>
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「ここで超新星爆発起こる。やがて闇になり存在達がそれに気づき、力を集結し創造に着手した。月日が流れた。
何も見えない闇の1点から光を放ち始めた。そうしてできたこの場所がオープンメタバースの入口です。」
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メタバース。ね。はい。ってそれどころじゃな・・・
「おい、お前」
と声をかけられて「って今度は何?」と、衝撃を通りこして、腹を決めたかのように焼けになって拓郎振り向いた。
青い体毛の・・耳が長い・・ウサギ・・え?ウサギ!?が話した・・!?
ウサギ:
「新入りか?」
ウサギ:
「ここはメタバース1丁目1番地。そこの道路はさ、私が作ったのよ。保管ロッカーも。使っていいよ。」
拓郎は、一方的にペラペラとしゃべり続けるウサギに面食らいながら
状況を理解するために必死になるが、気持ちと頭が追い付かない。
OpenMetaverse Mr. Takuro (img = interoperability network,Roads and portals to various spaces created by the community. It is also a storage place for digital assets.
Carry your lasting reputation with you wherever you go. You can communicate with your friends no matter where you are or how far away you are.)
ウサギ:
「誰かが創って独り占めにしているんじゃないんだ。みんなにオープンなのさ。さっき石碑をみただろう?存在達が創作魔法をコミュニティーに伝承したのさ。だから、俺も作れるってわけ。」
「こっちの世界はさ、いいよ。だって、どこだって行けるし。本当の意味で何にだってなれる。想像力さえあれば無限な場所さ。」
うさぎは、固まる拓郎を尻目に、なおも途切れることなく続けた。
「ほら、見てごらん、
めずらしく、オリジンヒューマンのまんまのアバターの人いるね。
ほら、ね?今、トランスフォームしたでしょ。スカイジェットに。やっぱ、ああじゃなくちゃ。」
うさぎは、ポンと拓郎の肩をたたいた。
オリジンヒューマンの人間の生体そのままを投影した個人アバターは、膝の屈伸と同時に漆黒のスカイジェットと姿を変え、飛び立っていった。
拓郎は、我に返り、。。会社に戻らないといけないんだ。こっちは生活がかかってんだ。気が狂いそう!夢ならもう醒めてくれ!
スマホの目覚まし時計が鳴り、朝の6:50を指していた。拓郎は、ベットを降り、靴下をはき、Yシャツにそでを通した。
・・・
20年後
今年、誰もが知る由緒ある対戦型大会・BLK WarはメタバースXD区画で開催された。
大勢の参加者で優勝を争った。
どれ一つをとっても同じ者がいない、多種多様なアバター達。誰もがかたずをのんで注目する優勝者の情報は、
爆発的に拡散されオープンメタバースの通信網をとおり端から端まで即座に行き渡り、全スペース接続された住人の視覚域に流れ始めた。
★速報---:優勝者、決まる!★★==
2年連続の優勝!!
ウサギ系チームブルーのギルドマスターとしても知られています。
Mr.takuro the skyjet!
驚きとヒーローを称える爆発の歓声が、オープンメタバース全体に響き渡った。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。